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執筆者の写真LAGS2 Reporter

U2W #1 レポート

更新日:2020年7月11日



2020年6月20日に実施されたU2W#1はメルボルン大学に留学中の中島悠輔が登壇し、メルボルンのランドスケープについて語りました。

#1 Summary スピーカー:中島悠輔 ライター:吉本文香

●ランドスケープを学ぶきっかけ 幼少期をシドニーで過ごし、日本に帰国したことをきっかけに”環境”に興味を持ち始めた。

●メルボルン大学での授業 メルボルン大学ではMaster of Landscapeの3年コースを取っており、1年目はソフトウェアなどの使い方や基礎生態学、2年目は理論や歴史、3年目は応用的な生態学や卒業制作を行う。

●メルボルンのランドスケープ オーストラリアのランドスケープは野生性と多文化性と言った特徴があるように感じる。自然に分け入る感覚を大事にする国民性・多文化が混ざり合う土地

●コロナとメルボルン 郊外に住む人が多く、サステイナブルで快適な郊外の在り方に注目が集まっているのでは。

プレゼン後の質疑応答も含めたより詳しいレポートは以下をご覧ください。



 

今日の内容

  • 中島さんについて

  • ランドスケープ留学までの道のり

  • メルボルンのランドスケープ

  • メルボルン大学で学ぶランドスケープ

  • WITHコロナのランドスケープ in メルボルン

  • 質疑応答

 

中島さんこんな人

  • 91年生まれ、未年

  • 愛知県出身 幼少期をオーストラリア、 シドニーで過ごす。

  • 東京大学農学部にて生態学を学ぶ。

  • 東京大学大学院工学研究科にて都市工学を学ぶ。

  • 現在は、メルボルン大学でLandscape Architectureを勉強中

  • 「ランドスケープを学びたい人の井戸端会議」管理人

  • とっても穏やか、緊張しがち、行動力👏🏻




 

ランドスケープ留学までの道のり

背景


毎日のように自然と触れ合った幼少期(シドニー)

オーストラリアの公園の豊かさ

      ↕︎

あまりきれいではなかった、日本の農業用水路

自然と遊べる環境の少なさ

シドニーのビーチの風景

家の農業用水に浮かぶ油


 

情熱


”自然とふれあえる、こんな空間を作りたい”



 

道のり

 まずは自然ってなんなのか学ぼう

  → 東大で生態学を学ぶ…もっと”空間づくり”に活かすにはどうしたらいいか

   → 工学院で都市工学を学ぶ…研究が重視される日本の大学院


    → もっと 設計 を学びたい!

     ランドスケープ留学を決意、インターンをしながら留学準備

     再び幼少期を過ごしたオーストラリアへ



 

メルボルンのランドスケープ=野生と多文化


野生のランドスケープ


  • 西洋人の開拓の歴史→オーストラリアの人は冒険好きが多い?

  • Bush(林、雑木林)” という表現が好きな人々

     挑戦したくなるような、冒険したくなるような自然


ランドスケープデザインにも反映されている


GLAS より


 

多文化のランドスケープ


  • 欧州の文化…イギリス風景式庭園、的な公園や景色

  • アボリジニの文化、オーストラリアの原生的な景色

  • アジアの文化…アジアからの移民の多さ、中国との経済的な強い結びつき


  →メルボルンの街には、多文化交流、文化発信の場がたくさんある。



様々な国の文化イベント行われるFederation Square, City of Melbourneより

 

メルボルン大学で学ぶランドスケープ


3年コース概要


設計課題をこなす過程で、周辺知識、スキルを学ぶ。


【1年目】

基礎的なデザイン、デジタルスキル等

デザインのバックグラウンドがない人向け

一年目はスキップすることもできる。



【2年目】

ランドスケープを学ぶ上で重要な理論の勉強(生態学など)

構造、詳細図面の書き方、模型づくり



【3年目】

生態学を活かしたデザイン

社会に出る準備


卒業制作




 

中島さんの卒業制作:多文化の理解と融合

オーストラリア文化への興味

文化の”融合”がうまくいっていない印象


アジア人から見た、オーストラリア文化

文化の融合の新しい形を模索。


盆栽という小空間で実験→実際のデザインに活用?

卒制の過程をYoutubeにアップ中



 

WITHコロナのランドスケープ in メルボルン


コロナ期間中のメルボルンの様子


【都市部(CBD)】


留学生や移民がメインで、アパート、シェアハウスが多い。

感染者も多かったのでは。


→危機感から外に出られない人々

 普段よりむしろ公園に集中する人々


都市の生活環境の窮屈さが露呈?



【郊外】


大きな家、大きな庭

→自粛中でも快適に過ごせた。


郊外でのコミュニティづくりにも注目



 

コロナ後の傾向;郊外への広がり


都市部、街中の都市公園より、郊外の開発に目が向いている印象。


【政府の方針】

コロナの経済的なダメージからの回復を目的として、建設業に力を入れる方針。

郊外の住宅開発を進める。


【課題】


画一的な住宅開発、”Bush”がなくなっている。

→もっとサスティナブルな開発について議論の余地がある。


 

質疑応答



Q. 生態学について、東京大学とメルボルン大学の違いはあったか。学術的な内容も学ぶのか。(Uさん)

A.

東京大学 : 学問としての生態学

メルボルン大学 :

ランドスケープアーキテクチュア学部なので、

生態学の基礎的な内容と、生態学をどのように”使って”デザインするかが焦点。

生態学者ではなく、Landscape Architect が教える。生態学者によるゲストレクチャーはある。


 

Q. 企業と連携した授業や、実際のプロジェクトに関わることはあるのか。(Kさん)

A.

選択授業で、実際のプロジェクトに関わるものもあるが、必修ではない。

ランドスケープの分野で働いている人がチューターとして来てくれることはある。


KさんはITの分野から都市計画に興味を持たれたそう。いろんな分野の人がいて面白い!


 

Q. メルボルン大学では、課題の成果物として動画の提出もあるのか。(Aさん)

A. ある。これからどんどん増えるのではないか。

 

Q. 土木工学からランドスケープアーキテクトは目指せますか。(Sさん)

A.

(中島さん)

できると思う。土木工学は景観学とつながりが深い。

メルボルン大学の3年コースでは、入学にポートフォリオの提出が必須ではなく、

多様なバックグラウンドを持つ人が集まっている。初めはスキルがなくても、学ぶことはできる。


(宮川さん)

日本では土木からの方が入りやすい。

特に地方では、土木の方が仕事の幅が広い。

(福岡さん)

アメリカでは土木工学 EngineeringとLandscape Architectureはくっきり分かれている。

日本では、土木工学の方がランドスケープよりも強い印象。

土木工学の中でも、河川など、ランドスケープと繋がる分野はたくさんある。

どっち、と決める必要はない。


 

Q. スタジオの規模感、雰囲気、学生や先生の年齢層などはどんな感じか。(Iさん)

A.

一学年60人くらい、15〜20人のグループで進めることが多い。

中国人留学生は20代が多め、オーストラリア人は、30代40代の人もいる。


グループワークもあるが、最終的には個人で提出する課題が多い。

初めの調査のみグループでやることがある。


Iさんがいらっしゃるハワイ大学は、一学年8人、先生も30代40代の若い方が多いらしい!

 

Q. 法律家の果たしうる役割は何か。(Iさん)

A.

(中島さん)

都市計画分野の法律がランドスケープに関わることが多い。仕事をしている場合は分からないが、様々な場面で法律との関わりがあるのでは。


(高橋ケイスケさん)

文化財や、歴史性があるものを守るときに、経済性の方が優先される傾向がある。

日本の文化的なものへのリテラシーが低いと思う。


(福岡さん)

アメリカでは、ランドスケープ事務所が弁護士も雇っているのが一般的。

プロジェクト関連の事故で訴えられることがある。

アメリカは図面も綿密(施工者が)契約もしっかりしている。

  ↕︎

日本は施工者が優秀なので図面も少なく、契約関連もアメリカよりゆるい。


文化財等では法律間の解釈で行政が動けない場面も多い。

実務で関連してくる法律についてのコンサルがあるといいかもしれない。


 

Q. Creative Cityに興味がある。都市をつくる上で、どんな立場の人が入っていけば面白いか。(Kさん)

A.

(中島さん)

場所をつくるのも大事だが、それを運用する人が必要ではないか。


(福岡さん)

Creative Cityは抽象的な概念、具体的にどう文化的な”場所づくり”に落とし込むかが弱い。

メルボルンのフェデレーションスクエアには、イベントを主宰したりするPlace Makerがいる。

”Place Making” 、”Mパビリオン”を検索してみて。


(保さん)

作為のあるアートはムーブメントにならない?

自由を許容するような広場づくりができるといい。

メルボルンは最先端を行っている、Criative City構想が行政的にも整っている。


 

Q. 素材、材料についてどんな教育がされているか(Mさん)

A.

 Site Analysis の段階で、地元の歴史、地元で取れる鉱石の勉強をする。

マテリアルの授業もある。コンクリートの強度や、木を切ってみる実習など。

植生はオーストラリアならではなので、詳しく学んだ。植物名のテストもあった。


Mさんは土木出身

土木出身でランドスケープをする時は樹種などの知識がネックだそう。


 

Q. 社会人でランドスケープの勉強をするにはどうしたらいいか。(Yさん)

(保さん)

ぜひJLAUに入ってください。インターン情報などあります。

スケッチ講習、セミナーなどもあるので参加してみてください。


(宮川さん)

コンペにどんどん参加してみてはどうか。日本でも世界でも。

実践を通してデザインを学ぶこともできる。


就職するか海外に勉強に行くか迷っている。実務経験と留学のどちらが先がいいのか。

コロナの状況下だが、海外でも就職できるのか。

(まさかねさん)

日本での実務経験なくアメリカに渡った。

社会状況的には厳しいかもしれないが、

落ち着けば海外での就職も可能だと思う。


(中島さん)

メルボルンではPR(永住権)が就職に必要な場合が多くなってきた。

実務経験があるとPRが取りやすい。

国によって条件が違うのでよく調べるといいと思う。

(保さん)

働きたい意欲があれば大丈夫

(福岡さん)

自分は日本での実務経験なくアメリカに渡ったが、

日本での実務経験がなくてよかった面もある。

実務があれば、留学の際のフォーカスが変わったかもしれない。

いろんな選択肢がある、どっちがいい悪いではない。


(吉本)

イギリスでは、ランドスケープアーキテクトが”人材が不足している職業リスト”に入ったので、

外国人でもチャンスが広がった。


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